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台湾ステーキの謎 〜なぜ異様に柔らかく、そしてほのかに甘いのか〜

台湾人はステーキが好きだ。
中国語で牛排と呼ばれるステーキは、どんな小さい街に行ってもお店が必ず一件はあるし、安いものは100元(だいたい350円)から。ある程度高めだと500元(1600円)で分厚い奴が食べられる。
しかもなんと夜市でも食べられる。ステーキの屋台が絶対ひとつはある。

台湾のステーキは独特な形で供される。鉄板の上になぜか麺をしき、その上にステーキを載せるのである。そして胡椒の効いたこってり目のドロドロソースをその上にかける。

多分日本人がそのステーキを食べるとみーんな「?」と思うはずだ。
ステーキを食ってる。しかも結構安めの外国産牛(オーストラリアやアメリカ)を食べてるのに・・・硬くないのである。しかもほのかに甘い。肉の柔らかさも、気持ち悪いくらい柔らかい。
そして牛肉の風味はほとんどない。
どれくらい柔らかいのかというと、硬くてハムくらい。柔らかいと本当に箸で切れる程度である。

僕が台湾に来て1年半くらい経つが、夜市の正体不明の安いステーキはともかく、1500円くらいの少し高めのお店でも同じような味と柔らかさのステーキが出てきたので、なんだか怖くなって台湾でステーキを食べるのは控えていた。

このことの一番怖いところは、この疑問を台湾人日本人問わずいろんな人に聞いてみても、「え?そう?柔らかくて甘いのっていいことじゃん。」と言われたり、挙句「今までどんだけ安い肉食ってたんだ」みたいな目で見られることである。誰も疑問に思ってないのである。
肉の味も弾力も牛肉のそれとは違う、それでも牛肉の外見をした変な物体を、老若男女みんな喜んで食ってるのだ。


今日ステーキが無性に食いたくなったので少し高めのお店で食べてみた。それでもやっぱり変な弾力と、弱い風味、そしてほのかな甘さに怖くなって、もう一度、インターネットで徹底的に調べてみた。

それをまとめてみようと思う。

日本での食肉と酵素

主に酵素が使われるようである。

  • パパイアの中などにパパインという酵素が含まれていて、これは牛肉のタンパク質をより細かい分子の別の物質に変化させるので、肉が柔らかくなる。
  • パパイア果汁が肉を柔らかくするのは東南アジアではよく知られていたらしく、日本軍が東南アジアに行った時、現地の人が硬い水牛の肉をパパイアジュースにつけて食べられる硬さまで柔らかくして食べてるのを見て驚いた、ということである。
  • ただパパインは制御が難しく、牛肉につけて時間が立ちすぎると柔らかくなりすぎて美味しくない。
  • だからパパイン以外の、制御しやすく、風味も落ちない他の酵素をみんな研究している。
  • 牛肉の風味は牛肉のタンパク質によるもので、このタンパク質を分解し過ぎると、風味が変わってしまう。
  • パパイヤや、パパイン自体に副作用などはあまりない。
  • パパインはパイナップルなどにも多く含まれる。
  • 添加物としてもっとおどろおどろしい亜硝酸塩?などは、古くて見栄えの良くない牛肉の色を赤く戻すときに使われるようである。
  • 肉は肉自体の酵素で分解させ軟化するのを期待して、3週間、高級店だと4週間熟成させることがある。
  • 肉の軟化についてはここが詳しい。肉を柔らかくする方法 - foodesign

台湾での食肉と酵素

調べ方が悪いのか、台湾のステーキの味の奇妙さについてどう調べてもなかなか出てこなかった。
とりあえず2つほど掲示板サイトが出たのでメモ。
原來有個東西叫做 嫩肉精 (第3頁) - 閒聊與趣味 - Mobile01
原來吃嫩精不會怎樣!!!我一直以為會致癌~ - ihergo愛合購

  • やはり台湾でもパパインがメジャーらしい。
  • パパイン?もしくはパパイヤの粉末を木瓜粉という
  • 軟化剤を嫩精という
  • 亜硝酸塩?などのより化学物質的なモノを使う場合、風味が極度に変わるらしく、味の素を入れることがある。
  • パパインなどの軟化剤を使ってるのは一部の店でしょ?とか中国のでしょ?的な意見も散見される、もしくは大部分がそうかもしれない。柔らかさに気づいてないパターン。
  • 自分で牛肉を買ってきてステーキ作ったらああ柔らかくならないでしょ!とか
  • 本当の高級店と食べ比べてみなよ。その辺のステーキ味おかしいよ!とか
  • どこの店のどの部位のステーキを食っても同じ味って怖いよ!とか
  • アメリカに移民しましたが台湾の外食で食べるステーキはヤバイです。とかの意見もあった。
  • あと、「ずいぶん昔ですが、ステーキチェーンで働いてました。基本パパインを使っていました」という書き込みもあった。

僕のまとめ

  • 台湾の牛肉が軟化にパパインを使っているのであれば、まあそこまで心配する必要はないと思う
  • だけどパパインみたいな精製された物質がそんなに味があるわけない・・・
  • 変な甘さがあるってことは他の物質?もしくは果汁につけてるとか?
  • そもそも日本の文献だとパパインは柔らかさの制御が難しいとある。だが、酵素をきちんと牛肉に浸透させないと、肉の中央部がどうしても硬くなってしまうはずである。
  • なのに、台湾のステーキは中央部分までしっかりと柔らかい。また牛肉の風味はほとんどない
  • でもパパインがコスト的にも安全性的にも8割の可能性だろうな。そう信じたい。
どちらにしろ、日本人と台湾人の味覚における好みの差が、牛肉の軟化に使う手段の差を生んでるのだと思う。

台湾人は甘口で柔らかいものが好きである。

怖いのは、どう考えても普通の牛ステーキの味を逸脱した食べ物を、老若男女、何の疑問も持たずに喜んで食べ、挙句本来の牛肉の味を忘れてしまっているという事実である。

以下俺のグチ
調理系の高校に行ったヤツに聞いても「いやあれがステーキの味でしょ。日本は物が高いから、牛肉も台湾人が食ってるような良い肉は高くてなかなか食えないんじゃない?」つって譲らなかった。
日本の神戸牛は世界でもブランドなんだよ!オメーらが食ってる米国産、豪洲産ビーフなんて日本でも安価で手に入るから!!!

あと多分あんだけステーキから牛の味消えてるのは台湾人がステーキにドバドバこーいソースをかけて牛肉の持つ本来の風味を台無しにしてるからだと思うよ!あと寿司を醤油にベタ付けするのやめろ!寿司を醤油にベタ付けする奴はいっその事醤油飲んどけバカ!